「私は金正男を殺してない」「ぼく、街金やってます」

私は金正男を殺してない

観てきた、ドキュメンタリーなので映画としてどうこうは特にない。面白かった。期待通り。そもそもの出来事がインパクト十分なので、変なことをせず、しっかり作ってくれればそれでよし。そしてそうなっていた。

マレーシアが一番だが、上の人間ってみんな腐ってんな。

裁判官、証言した警察の偉い人、そしてそいつらの上でそいつらの行動を決めている人達。

初めて知ったこともあるので思い返して記憶するために流れを書いていこうと思う。

 以下事件の流れ

北朝鮮グループ8人と騙された女2人が計画、実行。(少し調べればわかるが、騙されたとされる2人が実は暗殺者だった可能性は極めて低いだろう。)

・実行の3か月くらい前から北朝鮮グループと女2人は接触し、いたずら動画を何度もとっている。

・女の1人金正男の事件の直前に笑ってコーヒー飲んでる。(殺す気ならまぁ無理だろう。)

・事件後数日で2人は捕まる。一人は友人といたホテルに警察が来た。もう一人はなんと、事件の空港にもう一度行ったときにその場にいた警察に捕まった。(二人ともこの時まで金正男だということ、死んだことは知らなかった。そうじゃなきゃ事件現場行くとかあほでしょ)

・男8人のうち4人は事件直後に北朝鮮へ帰国。1人は現在も行方不明。

北朝鮮大使館に突入した警察が1人を捕まえる。残りの2人も遅れて確保。

北朝鮮がそれに抗議し、北朝鮮に在留中のマレーシア大使館の人々を人質にとる。

・マレーシアは男3人と人質を交換する。(証拠はないが事実からこれしかありえない)

・マレーシア、面子たもちたいが、捕まえて残ったのは女2人だけ。何とかつみをきせようとする。裁判官、警察の偉い人、検察、みなそっちにもっていこうとする。

・空港の監視カメラの映像も弁護士が欲しいと言ってから渡されるまで半年以上!。

・女の1人はインドネシア人、もう一人はベトナム人インドネシアの働きかけで時間はかかったが、インドネシア人のシティアイシャは自由の身に。

・一方ベトナム北朝鮮との友好国のため、積極的な交渉を渋ったのかベトナム人の女のほうはそのとき解放されず。だが時間がたって、軽い罪(傷害罪)として裁かれ自由の身に。

 

事件が大ごとになって世界が注目したからこそ、女2人は助かったが、マレーシアの力を持つ人たちは女2人を完全に殺す気だっただろ。曲がった判決だと面子が逆につぶれるとの判断を世間が与えたのだと思う。そしてベトナム政府もインドネシアの女が解放されて、このままベトナム側の女だけのこるとベトナムの面子つぶれるから行動したまで。(一人解放されてとてもやりやすくなったのもあるだろう。状況からみて言えば通る状態になっていた。)

 

この映画で驚いたポイントがある。

あれ?日本のマスコミすごくね?

弁護人が空港の監視映像を手に入れたのは(正規ルートだからというのもあるが)半年以上たった後である。日本のメディアは暗殺の数時間後にはテレビで空港の監視カメラの映像を流していた。これすごくね?どんなルートもってんだよ。

あと、北朝鮮についてずっと調べていた欧米っぽい人が金正男に会おうとしても足取りすらつかめないって言ってるのに、日本のマスコミは普通に何度もインタビュー成功してるんだよなw。

そしておそらくではあるが、そのインタビュー内容が事件のきっかけの一つとなってしまった。それは金正男が「世襲に反対」と言ったことだ。これで彼は危険分子とみなされてしまった。あれ?日本のマスコミにも少しは責任あるんじゃね?少なくとも罪悪感は感じちゃうなぁ俺がその映像を流した人だとしたら。

 

女のこれまでのマレーシアに来るまでの経緯の話もあったけれど、根本はここから問題があるんだよな、と思った。小学校卒業のあと実家を出て裁縫の仕事、朝早くから12時まで。基本それ以外全くない生活と言っていい。でも知識や経験ないから仕方ないと。そしてその環境からどうやったら抜け出せるかの知識を得る機会すらない。そしてそこの社長と結婚し、17で子供産む。のちに離婚し子供は社長にとられる。マレーシアに移住。やっぱり娼婦。そしてあの事件。有名になりたい、そしてこのサイクルを抜けたいこころのスキを(北に)利用された。

あれ??事件が起こらなかったとしてもこのサイクルから抜け出せなくね?(本人がいいならいいけど、彼女は抜け出したがっていた。)

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ぼく、街金やってます

を読んだ。

面白い。何度かこういうたぐいの本はよんでいるが、でもやっぱりこういう話はおもしろい。特に債権者の会社に籠城した話は好き。あと、ぼこぼこにされて殺される直前までいったのに、翌日も同様のことをする作者はすんげぇと思った。

最後のほうにあくどいやり方の具体例がいくつもかいてあるが、簡単に言うなら、とにかく取引の間に何かを挟んだり、借金を別のところにうつしたりすればそのたびにいろいろなお金がかかるということ。そしてその多方面にかかるお金は、実際には多方面ではなく相手の別会社や手を組んでいる人に過ぎないということ。

自分で貸さずに別のところを紹介して貸せば紹介手数料の分だけ多くとれる。これとこれの亜種をいろんな方法でやっている。

 

とても読みやすく、ボリュームも少ないのでサクッと読み切れた。