フードインク、ブラックボックス

フードインクという映画を観た。

動物虐待的な映像が多かったが、それはこの映画の言いたいところではないのに少しズルいなと思った。

工業化は工場の中はとても汚い。衛生的な意味もあるが、そこに対して行われている人間の損得の計算がとても汚いのだ。しかし、そこから生まれる製品はスーパーに並び、私たちはそれを(手間のかからない、おいしい、やすい)良いものとして扱う。

放牧では少しずつ全体が汚い(並ぶ者にも完全に汚れがついていないわけではないし、工場とは別のリスク、汚れがある)のに対して、工場化されたものは工場の中のみ真っ黒。それ以外はきれい。

ずっと疑問だった。トイレをきれいにしたいだけなのに、なぜ汚い(と思える)トイレ掃除用具を近くに置かなければならないのか。入居したてのトイレはきれいで掃除用具すら置きたくないが、そうはいかない。それを維持するにはどこかに汚い掃除用具を置かなければならないのだ。

汚点の絶対量は変わらない。それをいかに密度を高くして(小さくまとめて)隠すか。それしかないのだ。フードインクに出てくる工場化はそれの典型。

 

映画の中心としては巨大企業の汚さを扱っているが、それはよくわからん。資本主義としては当然のことに思えるし、感情で判断するならあってはならないことが起きていると思う。金で権力を動かせるものがさらに金を稼ごうとしたらまぁそうなるよね。